ゴミ屋敷の状態にある物件の遺品整理を業者に依頼する場合、提示される見積もり金額に驚く方は少なくありません。一般的な遺品整理の相場が十数万円から数十万円であるのに対し、ゴミ屋敷の場合は百万円を超えるケースも珍しくないからです。なぜこれほどまでに高額になるのか、その費用の正体を理解しておくことは、納得のいく業者選びのために不可欠です。まず、費用の大部分を占めるのが人件費です。ゴミ屋敷の作業は、通常の引っ越しや片付けとは比較にならないほどの労力を要します。膝下まで埋まったゴミを一つずつ仕分け、袋詰めし、搬出する作業は、数人がかりで数日間、時には一週間以上かかります。また、単なる肉体労働ではなく、遺品を見つけ出すという繊細な作業も含まれるため、熟練したスタッフの動員が必要となります。次に大きな割合を占めるのが、廃棄物の処分費用です。ゴミ屋敷から搬出されるゴミの量は、数トンから十数トンに及ぶことがあります。自治体のクリーンセンターに持ち込むにしても、業者として適切に処理するための産廃費用がかさみます。特に、家電リサイクル法の対象となる冷蔵庫や洗濯機、処分が困難なタイヤやバッテリー、あるいは液体が入ったままの容器などは、個別に高額な処理費用が発生します。さらに、特殊な作業が必要な場合、そのオプション料金が加算されます。ゴミの腐敗による異臭を消すための消臭作業や、害虫駆除、床や壁の徹底的な洗浄などがこれに当たります。これらは特殊な機材や薬剤を使用するため、専門的な技術料として計上されます。一方で、費用を抑えるためのポイントも存在します。それは、買取可能な遺品の査定です。ゴミの山だと思われていた場所から、貴金属や骨董品、ブランド品、あるいは比較的新しい家電が見つかることがあります。遺品整理業者の中に古物商の許可を持っている業者がいれば、それらを買い取り、作業費用から差し引くことができます。この相殺によって、最終的な支払い額を大幅に減らせる可能性があります。ゴミ屋敷の遺品整理費用は、単なる「掃除代」ではなく、物件の衛生環境を回復させ、遺族が負うはずだった膨大な時間と精神的負担を肩代わりするための対価です。
ゴミ屋敷の遺品整理にかかる費用の正体