長期にわたって「放置」されたゴミ屋敷は、その住人だけの問題に留まらず、地域社会全体に広範囲かつ深刻な負の影響を与えます。その影響は多岐にわたり、地域住民の生活の質を著しく低下させます。まず、最も直接的な影響は「生活環境の悪化」です。放置されたゴミ屋敷から発生する強烈な異臭は、風に乗って広がり、近隣住民の日常生活を脅かします。窓を開けられない、洗濯物が外に干せない、庭でバーベキューができないなど、自宅での快適な生活が阻害されます。また、ハエ、ゴキブリ、ネズミなどの害虫・害獣が大量に発生し、ゴミ屋敷だけでなく、近隣の住宅にも侵入してくるため、衛生面での不安が常に付きまといます。次に、「防犯・防災上のリスク増大」も深刻です。ゴミ屋敷は、外部から内部が見えにくく、不審者が隠れる場所を提供したり、放火の標的になりやすいという防犯上の問題があります。また、燃えやすい物が大量に堆積しているため、火災が発生すれば大規模な延焼につながる危険性が極めて高いです。避難経路が確保されていないため、住人自身の命だけでなく、近隣住民の生命と財産をも脅かします。さらに、「景観の悪化と不動産価値の下落」も無視できない問題です。地域の中にゴミ屋敷が放置されていると、その地域のイメージが著しく低下します。新規住民の流入を妨げ、既存住民の転出を促す要因となり、地域の活力を奪います。結果として、周辺の不動産価値が下落し、住民の資産形成にも悪影響を与えます。また、ゴミ屋敷の隣接地の売却が困難になるなど、経済的な損害も発生します。そして、「地域コミュニティの機能不全と住民間のトラブル」も発生します。ゴミ屋敷問題に対する行政の対応の遅さや、住人自身の非協力的な態度に対し、近隣住民は不満や憤りを感じ、住民間の対立や不信感が募ることがあります。地域での協力体制が崩れ、孤立感が深まることで、地域コミュニティの機能そのものが低下する悪循環に陥ることもあります。放置されたゴミ屋敷は、地域社会が抱える問題の縮図であり、その解決は地域全体の喫緊の課題なのです。
放置されたゴミ屋敷が地域に与える負の影響