ゴミ屋敷に堆積した「本」の種類や状態は、その住人の心の変化や内面的な葛藤を読み解く重要な手がかりとなります。本を通して、住人がどのような人生を歩み、どのような精神状態にあるのかを探ることで、より的確な支援へとつなげることが可能になります。例えば、かつて専門書や学術書ばかりを買い込んでいた人が、次第にゴシップ誌や週刊誌、あるいはスピリチュアル系の本をため込むようになった場合、それはその人の知的好奇心が低下し、現実逃避や精神的な不安定さを抱えている兆候である可能性があります。あるいは、特定の趣味に関する本ばかりが増え続け、他のジャンルの本が全く見られなくなった場合、それは社会とのつながりが希薄になり、自分の殻に閉じこもっている状態を示唆しているかもしれません。また、本の内容だけでなく、その「状態」も心の変化を物語ります。例えば、本の間に食べ残しやごみが挟まっていたり、カビが生えたり、破れていたりする本が多い場合、それはその人が自分自身の生活環境を管理する能力を失っているだけでなく、物に対する愛着や敬意さえも失っている可能性を示唆します。かつて大切にしていたであろう本が、ゴミ同然に扱われている現状は、住人の自己肯定感の低下や、自分自身を大切にできない心の状態を映し出しているのかもしれません。さらに、同じ本が何冊も購入されている場合、それは認知症による記憶力の低下や、強迫的なためこみ症の症状である可能性があります。新しい本を買ったことを忘れ、同じ本を何度も購入することで、本の山が際限なく増え続けていくのです。このように、ゴミ屋敷の本は、住人の過去の栄光、現在の苦悩、そして未来への不安といった、複雑な心の変化を雄弁に物語っています。ヘルパーや支援者は、単に本を片付けるだけでなく、これらの本の状態から住人の心の声に耳を傾け、その変化を理解しようと努めることが、真の回復への第一歩となるでしょう。本は、ゴミ屋敷の住人の「心のカルテ」とも言える存在なのです。