ゴミ屋敷が進行した果てにある物理的な末路は、人間ではなく、害虫と細菌が支配する異様な空間の完成です。放置された食べ残しや生ゴミは、ゴキブリやハエ、ネズミといった害獣の絶好の繁殖場所となり、家の中には外部の自然界ではありえないほどの密度でこれらがうごめくことになります。ある段階を越えると、害虫はもはや駆除が不可能なレベルまで増殖し、家具の隙間や壁の裏側、さらには住人が寝る布団の中にまで入り込みます。この凄惨な末路では、住人は害虫と共に眠り、害虫に汚染された空間で食事を摂るという、正気を疑うような日常を強いられます。悪臭についても同様です。アンモニア臭や腐敗臭が部屋全体に染み付き、それは壁紙を通り越して建物の骨組みにまで浸透します。一度このレベルにまで達すると、通常の清掃や消臭では全く太刀打ちできず、壁紙の張り替えはおろか、コンクリートの基礎を削るような特殊な処置が必要となります。近隣住民にとって、この異臭は耐え難い苦痛であり、窓を開けることもできず、洗濯物を干すことさえ叶わないという、平穏な生活を奪う暴力となります。この状況が生む末路は、周辺コミュニティからの完全な排除です。誰からも声をかけられず、地域の中で透明な存在、あるいは忌むべき汚れとして扱われる。住人が自らの衣服に染み付いた臭いに無自覚になり、公共交通機関や店舗を利用するたびに周囲が鼻を塞ぐ。そのような「歩く公害」としての扱いは、住人の自尊心を完全に粉砕します。物理的な汚染が精神的な汚染を招き、もはやどこから手をつけていいか分からない絶望が部屋を覆い尽くす。この凄惨な末路は、人間が環境によってどこまで堕ちることができるかを示す、残酷な実験の場とも言えます。一度この「害虫と異臭の帝国」が築き上げられてしまうと、そこから自力で脱出することはほぼ不可能であり、最終的には行政や家族といった外部の力による強制的な解体という結末を迎えるまで、その汚染は拡大し続けるのです。